家づくりに欠かせない木を育ててくれる山を、
恩返しの気持で守っています。

私たちがつくる家は、たくさんの木を使います。30坪クラスの家ですと、樹齢50年から60年の木を約180本使います。正直なことを言うと、かつては今日、明日使う木が手に入ればいいと思っていました。でも、山は何十年というスパンで木を植え、育て、伐採しています。その山が立ち行かなくなったら、木の家づくりはできません。家づくりに欠かせない木材を提供してくれる山を健全に保つことが、私達ができる恩返しです。何とかしなければ、という思いが募りました。
最初は、1棟建てる時に使われるのと同じ180本を山に植林しました。次は2006年に、宮城県の栗駒山で、弊社住まいの風工房と宮城県北部森林管理署との間で分収林契約を結びました。分収林というのは、A:土地所有者(この場合は宮城県北部森林管理署)と、B:費用を負担して造林や保育を行う者(この場合は工務店)との間で契約を結び、伐採時の売上額をAとBとで分け合うという制度です。工務店が分収林契約を結ぶのは、全国でも珍しいケースでした。
建主さんや環境保全に関心のある方に声をかけ、植林や山の手入れに出ているうちに考えました。植林してから伐採まで、60年かかります。その間に会社が倒産してしまったら、誰が山の管理をするのだろうと。そこで、森びとの会の設立メンバーである4社が呼びかけ、2007年にNPO法人エコラ倶楽部(http://ecora-club.org/)を設立したのです。
使った分だけ山に返すのは、活動の基本です。

エコラ倶楽部の目的は、紙や木材など日常生活や経済活動で使用した木の本数分を、山へ還すこと。活動としては、活動会員が植林、下草刈り、除伐等を行っています。活動費は、NPO法人の会員企業が負担します。
エコラ倶楽部では、家一棟に使う丸太180本の植林費を1本当たり300円とし、180×300=5万4000円を、家づくりの工事金額の一部から会員工務店が払って、山の再生をするための活動費とします。
こうしたシステムをつくったことで、国の補助金や、賛同する企業からの寄付も集まるようになりました。
再生に取り組んでいる山は、「エコラの森」といって、全国に3ヵ所あります。ひとつは、リゾート開発が頓挫し打ち捨てられ、盗伐によって荒れ果てた宮城県の「どろぼう山」の再生です。もうひとつは長野県の原村のカラマツ林で、動物と人が集まる森作りを目指して広葉樹林の整備を手がけています。3つ目は、兵庫県の丹波篠山(篠山市)の里山を保全する活動です。
私たちと一緒に、山でいい汗流しませんか

全国3ヵ所にあるエコラの森では、一般の人にも呼びかけて、植林や森林教室、除伐などを行っています。山仕事が初めての人では、急斜面での作業に驚くかもしれません。でも、マイペースで大丈夫。半日ぐらいで慣れてきます。毎回、50人~80人の人がボランティア参加し、気持のいい汗を流しています。
森は、きれいな空気や水の源です。山の手入れをすることで、森をより身近に感じていただけると思っています。山の幸を取り入れた食事や、作業の後の温泉も楽しんでいただいています。



鳴子「エコラの森」の歴史

宮城県にある“エコラの森”(宮城県大崎市川渡温泉)
開発や乱伐など人の手によって傷つけられてしまった山です。
このエコラの森を再生すること、そして日本の山を育て、豊かな森を取り戻すためにエコラ倶楽部は活動していきます。



260haに及ぶ広大な森、その昔、この山は仙台藩伊達家の馬の牧場として使われていました。
その名残で、周囲には馬が逃げないようにと築かれた、柵代わりの70cm~1mもの土手が現在も残っています。
昭和になり伊達家から地元の名士に渡り、バブル期にリゾート開発業者が取得、その後7億円の巨費が投じられるが、バブルの崩壊によりリゾート開発業者が破綻。
そこからこの山の悲劇は始まりました。
債権者などが、山の木を乱伐、管理者不在の中で、樹齢100年以上の杉や檜、広葉樹が消えていきました。
その後、産業廃棄物業者が取得に動き出し、産業廃棄物業者が土地の仮登記を行い、更なる伐採が進みました。
伐採も通常の伐採は行われず、木の価値のある部分だけを持って行き、価値のない部分は山に捨てられるという乱伐が行われました。
100ha.以上の面積の立木が失われ、植林はされず放置されました。法律で伐採後は必ず植林が義務づけられている、保安林も植栽がされず放置林となりました。豊かな森は10数年の間に荒れ果てた荒地となりました。

この山には湯沢川という1本の川が流れています。
下流には温泉街があり、温泉街を流れる川岸には桜の木が植えられており、観光の名所にもなっています。地元の人たちはみんなで桜の手入れや川の清掃をしてきました。
ところがここ数年、異変が起きています。夏になり雨や台風が来ると川が増水し、大変危険な状態になるのです。温泉街の人たちは、原因は山の木の乱伐だと思いました。
でもどうしたらいいのかわからず、毎年雨の時期や台風のときは、鉄砲水や土石流の心配に不安な日々を送っています。
ひょんなことから、この山がエコラ倶楽部の会員社に渡りました。取得するきっかけは、産業廃棄物の処分場話がこの山の隣にあり、この山ももしかしたら利用されるかもしれないといううわさを聞いたことがきっかけでした。
私たちはこの山の現状を知り、この山を「エコラの森」と名づけ再生することに決めました。山の木を伐採し利用することは決して悪いことではありません。私たちの生活の中で山の恵みはなくてはならないものになっています。しかし、このエコラの森のように経済優先の無計画な伐採は決してしてはいけません。
この山が何も特別なわけではありません。現在、日本の各地で経済優先の大面積の伐採が行われ、その後放置されています。昨年で17,000haの放置林があるそうです。(林野庁調べ)そして、その放置林が鉄砲水や土石流、土砂崩れなどの災害を引き起こしています。
山は、私たちにたくさんの恵みを与えてくれます。おいしい空気、おいしい水、動植物への栄養、海の生物への栄養、私たちが生きるうえで一番重要なものばかりです。
経済優先の生活から、私たちの暮らし優先、環境優先の生活に見直してみるべきではないでしょうか。エコラ倶楽部の活動がそしてエコラの森がみなさんにそれを伝えるきっかけになってくれればと思います。
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エコラ倶楽部理事長 大井明弘 |